なぜ美術鑑賞が重要なのか?アートを学ぶ意味とは?

美術館 教養としての美術
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はじめに

理論や論理だけで世界と戦っていくことは可能でしょうか。

感性や美意識、世界に通用する教養が必要だと感じたことはありませんか。

そんなあなたにぜひ知ってもらいたいこと、それは「アート」の持つ力です。

なんとなく美術館へ行き、なにも考えずに絵画を見ていては何も生まれません。

しかし、そこから一歩踏み込んで、絵画に真剣に向き合ってみると、作品を通じて新たな視点や経験をすることができるのです。

近年、世界のエリートから美術鑑賞が重要視される理由は、単にかっこいいからではありません。

美術を通して、「自ら学ぶ力」「考え抜く力」「多面的に考える力」を育むことができるからです。

 

それではここで、美術鑑賞を知るための例として、作品を一つご紹介しましょう。

≪ラス・メニーナス≫ディエゴ・ベラスケス, プラド美術館, 油絵, 1656年.

これはスペインの画家、ディエゴ・ベラスケスによる作品です。

スペイン国王の娘マルガリータを中心に描いており、『ラス・メニーナス』という名前で知られています。

ちなみに、「メニーナス」とは、スペイン語で女官を意味します。(画家本人が付けた名前ではありません。)

一見すると、中心で光を集めているマルガリータがこの絵の主人公に見えますが、実はこの作品はそんなシンプルなものではないのです。

 

それではここで、中心以外の人物にも注目してみましょう。

一番左に描かれている画家はベラスケス本人です。

ベラスケスは当時スペイン国王のお抱え画家だったので、王宮にアトリエを持っていたのです。

彼の胸元をよくみると、赤い十字架が刻まれています。

この文様は「サンティアゴ騎士団」の勲章のマークで、1659年に国王がベラスケスに与えた称号です。

しかし、この絵が描かれたのは1656年。

したがって、画家の胸元に描かれた赤い十字架は、1659年以降に国王の命令で書き加えられたものだと考えられます。

実はこの勲章、貴族階級ではない人間が国王からもらうのはかなり困難なものでした。

その上、当時のスペインでは芸術家の地位が今よりもずっと低く、たとえ国王に気に入られたとしても、勲章をもらうのは不可能だと考えられていました。

そこで、ベラスケスは周りから自身の地位を認めてもらうために様々なアプローチをしかけていたようです。

この絵はベラスケスのキャンペーンの一つだったのです。

 

ここでもう一度作品を見てみましょう。

マルガリータの左上にある鏡に国王夫妻が写っているのがわかりますか?

この時代、絵画の中で国王のように身分の高い人と画家のような身分の低い人を同等の位置に描くことはあまりありませんでした。

ベラスケスは、一つの部屋の中に画家と王女、そして国王夫妻を描くことで、自身が国王にも認められた画家であるということを周知させようとしたのです。

 

したがって、ベラスケスは、この絵に自身を寵愛してくれる国王一家への敬愛の念と、画家本人の誇りのようなものを描こうとしたのではないでしょうか。

 

アートの魅力とは

ここまでの内容は、美術館で絵を10秒見ただけではわからないかもしれません。

最初は何もわからなくていいんです。

見るだけではわからなくても、比べたり、調べたりすることでその絵画を理解することができるのです。

理解するといっても、それによって感じたことや見方は人それぞれです。

見え方の違いや変化もアートの面白さの一つです。

美術鑑賞に正解はありません。

あなたの正解が正解なのです。

だからアートは面白いんです。

感性を鍛えられることはもちろんですが、広い範囲や細部の情報をよく観察することで、一つの対象から様々な洞察を得る力を身につけることもできるでしょう。

「アートを学ぶ」のではなく、「アートで学ぶ」の方が正しいかもしれませんね。

 

とはいえ、やはり美術作品に対して、高尚で手の届かないイメージを持っていたり、「美術の知識がないのでアートを語れない、、、」と日和っているあなたに!

『教養の美術』からアートの魅力をお伝えします!

 

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