「世界で一番売れている美術書」として有名なE・H・ゴンブリッチの『美術の物語』。
美術史を学び始めた人なら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
なんとなく読んだ方がいいんだろうけど、実際どんな内容なの?買う価値はあるの?と渋っている方のために、今からさくっと『美術の物語』をレビューしたいと思います!
1. ゴンブリッチ「美術の物語」の特徴
この本では、美術史を先史時代や古代アメリカの美術から、現代のモダニズムやポストモダニズムに至るまで解説されています。
基本的にはヨーロッパの芸術や美術作品が中心です。
よくあるルネサンスやロココなどに特化した美術書とは違い、「西洋美術全史」のような書籍です。
そのため、美術史の一連の流れを説明できるレベルの知識をすでに持っている方には物足りないかもしれません。
しかしこの本、さすがに世界一人気なだけあって、広く浅くとはいえ全く浅く感じさせない魅力があります!!(これに関しては後ほど詳しくご紹介します。)
美術史を学ぶ人の中には、用語の難しさにつまずく人が多いですよね、、、
安心してください!この本では専門用語も噛み砕いて説明されています。
そのため、初心者でも無理なく読破することが可能なんです!
また、章ごとに時代が分かれているので、特定の時代の美術を知りたい時に美術史の辞書のような使い方もできるのです!
2. 目次
この本の内容は、先ほどご説明した通り「美術史の全史」です。
時代で細かく区切られているため、自分が知りたい時代や分野だけ読むことができます!
最初から読んでも良し、気になる章から読んでも良し、好きな絵画を探すでも良し。
楽しみ方は無限大の美術書です!
全部で28章もあり、ざっと見るだけでも気になるものが見つかるはずです!
【目次はコチラ↓】
- 不思議な始まり:先史、未開の人びと、そしてアメリカ大陸の旧文明
- 永遠を求めて:エジプト、メソポタミア、クレタ
- 大いなる目覚め:ギリシャ 前7世紀-前5世紀
- 美の王国:ギリシャとその広がり 前4世紀-後1世紀
- 世界の征服者たち:ローマ人、仏教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒1世紀 4世紀
- 歴史の分かれ道:ローマとビザンティン 5世紀-13世紀
- 東方を見てみると:イスラム、中国 2世紀-13世紀
- るつぼの中の西欧美術:ヨーロッパ 6世紀-11世紀
- 戦う教会:12世紀
- 栄光の教会:13世紀
- 宮廷と都市:14世紀
- 現実をとらえた美術:15世紀前半
- 伝統と変革I :イタリア 15世紀後半
- 伝統と変革II :アルプス以北 15世紀
- 勝ちとられた調和:トスカーナとローマ 16世紀初頭
- 光と色彩:ヴェネチアと北イタリア 16世紀初頭
- 新しい知の波及:ドイツとネーデルランド 16世紀初頭
- 美術の危機:ヨーロッパ 16世紀後半
- さまざまなヴィジョン:ヨーロッパのカトリック世界 17世紀前半
- 自然の鏡:オランダ 17世紀
- 権力と栄光I:イタリア 17世紀後半-18世紀
- 権力と栄光II:フランス、ドイツ、オーストリア 17世紀後半- 18世紀初頭
- 理性の時代:イギリスとフランス 18世紀
- 伝統の解体:イギリス、アメリカ、フランス 18世紀末-19世紀初頭
- 永久革命:イギリスとフランス 19世紀
- 新しい基準を求めて:19世紀末
- 実験的な美術:20世紀前半
- 終わりのない物語、モダニズムの勝利、モダニズムの退潮、変わりつづける過去
それにしても多いですね笑
最初から最後まで読み切ろうとせず、まずは気になる章を読んでみることをおすすめします!
3. サイズと重さ、値段、ポケット版
もうお察しかと思いますが、この本とても分厚いです。
そのため持ち運びには向いていません!
外出先で読みたいという方は、『美術の物語』ポケット版があるようなので、そちらを購入してください!
【通常の『美術の物語』(英語版)】
- 横: 17センチ
- 縦: 24.5センチ
- 幅: 4センチ弱
- ページ数:688頁
- 重さ: 1.8キログラム
日本語版も全688ページと、英語版とほぼ同じサイズのようです!
片手で持つとかなりズッシリきます。
ちなみに2022年2月現在、書店やネットで購入できる『美術の物語』は河出書房新社から出版されたものです。(表紙はグレーではなく白になっていると思います)
そして気になるお値段は、、、
税込で¥9,350(本体¥8,500)!!
かなり高いですね。。
内容の充実度と実物の重さを体感すればわかりますが、それだけの価値がある一冊です。
4. 人気の理由
『美術の物語』は1995年の発売から25年以上も経ちますが、なぜ世界中で読まれ続けるのでしょうか。
その秘密は、、①豊富なコンテンツ×②読みやすさ×③便利さにあります!
①作品画像が豊富!
この本には文章の解説だけでなく、実際の作品の写真がたくさん載っています。
美術館でも近くでは見られないような超有名な絵画を高画質で見られるのは、嬉しいポイントです!
付録のように折りたたみページにされている作品もあり、お得な気分になります!
システィーナ礼拝堂に行かないと見られないミケランジェロの天井画(ちなみに現地では撮影禁止)もくっきり鮮やかに見ることができますよ!
②初心者でも読みやすい!
長い参考書の中には、前の章を読んでいないと理解できないものもありますよね。
しかしこの本は、章ごとにしっかりと区切られているため、どこの章から読んでも理解できるようになっています!
また、文体が易しく、小難しい言い回しはほとんどないので、初心者でも十分読める内容です。
③地図と索引の便利さ!
美術史を学ぶなら基本知識として必須と言っても過言ではない「地理情報」!
画家は知っていても書かれた場所は知らなかったり、地名を知っていても地図上での場所が分からなかったりしますよね。
そんな方には朗報です!
『美術の物語』の巻末には、美術史で重要な地名がマッピングされた地図がついています!
そのため、文章中に地名が出てきたら後ろの地図で位置を確認することができるんです。
また、通常の索引だけでなく、地名ごとの作品一覧も載っており、とても便利です。
5. 最後に
いかがだったでしょうか?
このレビューが少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
ゴンブリッチの『美術の物語』は、美術史を学び始めた方や、趣味で美術の知識を深めたい方にはぴったりの一冊です。
少しでも気になった方はぜひ読んでみてください!
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コメント
気になっていた本なので、紹介ありがとうございます。
さっそく、発注しました。